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2007年03月18日

個人情報保護法の壁

今日は本当に疲れた一日でした。
ほぼ気疲れなんですが、
こんなにハラハラドキドキしたのは久しぶりです。
今日は夫の帰国日でした。
バンコク経由でカトマンズから7時半に成田に到着する予定だったので、
自宅に帰ってくる時間を見計らって、
遅くとも11時には帰ってくるだろうとご飯を作って待っていました。
11時、帰ってきません。
12時、帰ってきません。
15時になっても帰ってきません。
成田空港のHPを見たら、搭乗した便は30分早く到着していますし、
京成線も通常通りの運行です。
「これから帰る」と言って世田谷から4時間後に帰宅したことのある夫ですが、
さすがに遅すぎると思い、
搭乗予定便の某航空会社に電話をしました。
到着しているはずの夫が帰ってこないので、
搭乗したかどうか調べてもらえないかと尋ねてみました。
以下その会話です。
「国土交通省からの通達により、個人情報保護法に触れますので、
 搭乗者名簿は非公開になっています」
「え。それで終わりですか?じゃあ家族から安否を気遣う
 同じような問い合わせがきたら、どうしているんですか?」
「先程も申し上げましたとおりですので、お教えすることはできません。
 どうしてもと仰るなら警察を通していただかないと・・・」
「それではカトマンズ発バンコク行きの○○便が予定通り飛んだか確かめて貰えますか?」
「はい。それでしたら大丈夫です。○○便は予定通り17日にバンコクに到着しております」
というように、夫が搭乗したのかどうか教えてもらえませんでした。
そういえば、5年に一度卒業生の名簿を作る母校の校友会から葉書が来て、
「個人情報保護法制定により名簿を作るのはやめました」
と書いてあったことを思い出しました。
名簿もだめ。
搭乗者も教えられない。
この法律のおかげで、隠す必要のないものまで隠す羽目になるんだったら、
もういっそのこと表札とか名刺とか顔とか、
自分の存在そのものにモザイクかけちまえ。
・・・とか言ってたのは絶望先生だったかしら。
文句を言っても始まらないので、
カトマンズ在住の友人に連絡を取ってみました。
彼らと夫は、先週カトマンズで会っており、
帰国前にもう一度会う約束をしているとメールに書いてあったからです。
その友人からメールが来ました。
「13か14日に電話が来てから連絡が途絶えてます。
 18日頃に来ると言ってたので、昨日も一日中待っていたんですが。
 今日も連絡ありません」
要約するとこのような内容でした。
このメールの中でおかしな点があります。
18日頃にカトマンズの友人宅に行くという約束をしているところです。
わたくしの手元にある予定表には、
『17日にカトマンズ→バンコク→18日成田』
となっております。
予定変更することもあり得るのですが、
それならそれでメールが来るはずです。
これは由々しき事態になっているのかと思い、
警察へ行って相談することにしました。
日曜日の夕方の警察。
来訪者はわたくし以外いませんでした。
受付で事情を説明すると、
4,5人が井戸端会議を始めました。
以下、掻い摘んだ会話の一部とわたくしの心の叫びです。
「成田空港の航空会社窓口で直接問い合わせないとかなあ。
 それでも確実に教えてくれるっていう保証はないけどね」
(子連れで成田往復が無駄足は嫌です)
「入国管理局に聞いてみるってのはどう?」
(そもそも入国できるなら搭乗してるわけで)
「成田の航空会社が駄目なら、ネパールの航空会社に電話してみましたか?」
(警察を通せば教えてもらえるなら、そっちがいいです)
「ネパールにいる友人に日本大使館に行ってもらうのはできる?」
(それをする前に搭乗したかどうか、
 予約変更したならその日付がわかれば済むわけで)
「ネパールからの連絡ってメールですよね?
 そもそも日本を出国した証拠ってあるんですか?」
(それを言われたら元も子もないんですが)
「『警察ですが教えてください』って言って、
 『はいどうぞ』ってわけにはいかないんだよね」
(そうなんですか。じゃあどうすればいいのでしょうか)
あれこれ言われてここでたらい回しにされるのがオチかと思ったら、
段々悲しくなってきまして、
それに加えて、夫にもしものことがあったらどうしようという考えが
頭の中をぐるぐる旋回し始めたら、涙が溢れてきました。
近頃ドライアイがひどくて困っているというのに、
こういう時ばかり瞳が潤って困ります。
息子も退屈してきて外へ行こうとするので、
署内で売っていた100円自販機へ行き、
BOSSを与えたら大人しくなりました。
そんな子連れの女の姿を哀れに思ってくれたのか、
「情報保護法もクソもないよな。こんなの。
 家族が乗ってるかどうか聞くだけなのに」
「過剰に反応しすぎなんですよ」
「ほんと、頭に来るなー」
と空港の某航空会社に掛け合ってくれることになりました。
電話の内容はわたくしが話したとおりのことを伝えてくれまして、
文書で照会依頼を送ってくれればOKというところまで漕ぎ着けました。
あとは上役の方に事情を説明し、
帰国便や夫の話を調書のようなものにまとめ、
問い合わせの結果が来たら電話で教えてくれることになりました。
警察署の皆様どうもありがとうございました。
2時間後。
警察から電話が来ました。
「結果を申しますと、21日帰国の便に変更しているそうです。
 20日に現地を発って21日の同便で帰国だそうです。
 安心してください」
喉のつかえが下りていくのがわかりました。
安堵という言葉がぴったりです。
と同時に怒りの炎が燃え上がってきました。
メギドの火となってネパールにいる夫に降りかかりそうなくらいの威力を感じます。
ネパールがソドムとゴモラになってしまいそうです。
20分後、携帯にメールが来ました。
夫からでした。
要約すると、ポカラは毎日停電でメールができず、
悪天候でカトマンズ行きの飛行機にも乗れず、
今日ようやくカトマンズに着いたから安心しろみたいなメールでした。
そういう事情なら仕方がありません。
頭ごなしに怒っても仕方がないので、
今日一日の流れをメール上でおさらいし、
かわいいスカートかパンジャビドレスかサリーのいずれかと、
HARNNのジャスミンシャンプー&コンディショナーを所望してみました。
21日にお土産と一緒に帰国するのを待つことにします。
騒動の途中、姉とメールのやり取りをしていました。
「何かあったら東京に飛んでいくから」
という心強い言葉を貰ったのですが、
帰国日を変更した可能性が出てきたら、
「本人が連絡よこさないなんて怠慢だ。ところで今日の夕飯は肉団子です」
みたいなメールが来ました。
それにしても今日は疲れました。
おやすみなさい。