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2008年05月03日

工場萌え

夫の怪しいアングラ本棚にアングラ雑誌がありました。
廃墟巡礼や探偵ナイトスクープでいうところのパラダイスや、
日本人なら一度は見かけたことのあるキリスト看板大全集が載っている雑誌です。
夫がいない隙に勝手に読ませてもらいました。
この場を借りてお詫びします。
すみませんでした。
さて雑誌の特集に工場を鑑賞する話が出ていました。
それが工場萌えです。
この特集ページの煙突から体に悪影響を及ぼしそうな煙やら、
イカ釣り漁船よりも眩しい照明やら、
縦横無尽に走っている梯子と配管とのコントラストやらが、
わたくしの遠い記憶を呼び覚ましました。
実家からは製油所や製紙工場が見えます。
常に白い煙がモクモクと排出される煙突と石油タンクが見えます。
思い出されるのは昼間の光の下で見る工場よりも、
夜のライトアップされた工場です。
何故日中の工場が思い出せないのかといいますと、
明るい時には他の建物が先に視覚に入るからです。
夜は自分自身を輝かせている工場の独断場です。
「あのたくさんの石油タンクに引火したら、こりゃもうこの辺りは消滅決定」
とか不吉なことをよく考えていましたが、
実現することはありませんでした。
さて車で5分くらいの所にある友人宅の近くからも製紙工場が見えます。
以前友人から
「知人の奥さんが『こんな工場がそばにある所で子供は育てられない』と言って、
 こちらに引っ越してくることに反対している」
という話を聞きました。
その話を聞きながら、
「夜は綺麗なんだけどなー」
と考えていました。
話は変わりまして、
チリでバスに乗っていた時のお話です。
カラマからアントファガスタまでは荒涼の地で、
外を眺めていても何の面白味のない風景で退屈していました。
このままじゃ夜も風景が変わらないだろうから、
後は毛布を被って寝るしかないと思っていました。
それがアントファガスタを過ぎたくらいで、
暗闇の中、眩い光を放つ工場地帯が出現しました。
閉めていたカーテンを通した光の眩しさで気づきました。
カーテンを開けると、白い光に包まれた工場が目の前にありました。
この時の興奮は今でも覚えています。
木も生えてないような茶色い風景が続いていたはずだったのに、
突然明るくなった様は神々しくもありました。
はて、あれはどこら辺だったのだろうと気になりまして、
GOOGLE EARTHで調べてみると、
アントファガスタから南に20km程下ったLa Negraのような気がします。
コチラ。
このもう少し南にも更に大きな工場があります。
わたくしが見たのはおそらくここだと思いますが、
夜の美しさはさすがにGoogle Earthでもわかりません。
旅行中に他にもチリのチュキカマタ銅山にも行きましたし、
ブラジルのイタイプ水力発電所にも行きました。
元々工場見学が好きということは自覚していましたが、
工場を眺めることにも興味を持っていると気づいたのは、
夫の本棚にあった雑誌をめくってからです。
ウィキペディアによりますと、

工場萌え(こうじょうもえ)とは工場の景観を愛好する行為。
日本において、コンビナートや工場の、夜間照明や煙突・配管・タンク群の、マッシヴな「構造美」を愛でる、工場観賞(工場鑑賞)を趣味とする人々が増えており、従来悪い景観とされていた工場に美を見出すムーヴメントがインターネットを通じて拡大した。

 
となっています。
以上、取り留めのないことを書きましたが、
総合すると、わたくしも工場萌えであるという結論でした。