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2009年09月17日

聖地巡礼・帯解編

帯解。
『おびとけ』と読みます。
天理の次はここにある寺を訪れるべく、帯解へと出向きました。
ここにも寄りたい理由がありました。
三島由紀夫の最後の作品、
豊饒の海に出てくる月修寺のモデルとなった寺がここにあるのです。
わたくしの中での三島作品は、高校時代に金閣寺を読んで難解だと思い込み、
潮騒を読んでは青臭く感じ、それからは遠い文学になりました。
その頃は筒井康隆、芥川龍之介が大好きだったもので。
月日は流れ、去年NYの友人宅に遊びに行った時に、
豊饒の海をリクエストされ買っていきました。
amazonで注文し届いた物を何の気なしにパラパラとめくると、
話にぐいぐい引き込まれ、ページをめくる手が止まらなくなりました。
これが身内で有名な
『人が買ってきた(借りてきた)本を先に読んでしまう同好会』の特徴です。
わたくしはよくこれを姉と夫にやらかして、
大変嫌がられます。怒られます。
自分が読んでないのに、先に読むとは何事だ、と。
だっていつまでたっても置いてあるから・・・・。
話が逸れました。
読むことが止まらなくなった理由。
それは買った本が全4巻の内の3巻と4巻で、
特に3巻の前半はバンコクとインドが舞台なのです。
時代は違うのに、バンコクの灼熱、湿気を含んだ重く甘ったるい空気が
本を通してわたくしの中に流れてきます。
全てを飲み込むようなバラナシの光景が、
インド回帰熱を発症させようとします。
それよりも惹き付けられたのは、4巻の絹江でした。
あんなに見事なまでの幸せの国の住人は絹江しかいません。
絹江最強説。
話が先に進みませんね。
ともかくこの本が面白かったのです。
で、NYで友人に先に読んでしまったことを謝罪し、
この本がいかに面白かったかを話したら、
友人が1,2巻を貸してくれました。
この後訪れるドミニカにも持っていっていいというので、
有難く借りて、カリブ海のビーチで三島を読んでいたのです。
なんて贅沢。
ああ、これじゃいつまでたっても帯解の話に行き着きません。
ってことで帯解に着いたというところまでワープします。
でー、念願の寺に着いたんですけどー、
普通に道路の真ん前に建ってるし、お坊さんもその辺を普通に歩いていました。
あれ?もっとこう神秘的で人が立ち入れない寺ではなかったかしら?
本では80歳を過ぎた老翁が、
体に鞭打って寺の山門までをほうほうのていで登り続けるくだりがあるのです。
この寺はどう見てもそんな山の上にはありませんし、
安産祈願はココ!みたいな看板もあって、
とてもオープンな雰囲気です。
まあ時代も変わって周辺が開発されたのね程度に思うことにして、
かなりがっかりしたまま立ち去りました。
さて、帰宅後。
何故あんな寺になったのか気になり調べていると、
わたくしは悲鳴を上げそうになりました。
わたくしが見たのは帯解寺
本のモデルになったのは圓照寺
前者は帯解駅から徒歩3分の好立地。
後者は帯解駅から徒歩30分の山の中。
何という勘違いをしてしまったのでしょう。
マジで血の気が失せました。
これで帯解に再訪問しなければならない理由ができました。