Home > 7月 9th, 2009

2009年07月09日

無益な殺生

またしても公園ネタでございます。
でもカナブンじゃないです。
あ、今日のカナブンは100匹以上いました。
隣の木にも樹液が出始めたらしく、
そちらにもカナブンがわんさかいました。
100匹数えた時点でもうええわと思って数えるのは辞めましたけど。
ある朝のことです。
いつものように自転車を止め、
あとは山を登って幼稚園へ行くだけというところで
息子の動きが止まりました。
しゃがみこんでじっと地面を見たまま動きません。
呼ばれて見に行くと、
息子の足元に30cmくらいの枯れ草のような物体が蠢いていました。
ミミズよりも細くて長いその気持ち悪い生物は、
蠕動運動しながら前進していました。
身体の先端は菱形になっていて、
そこが右へ左へと何かを求めて動いているのです。
かなり気持ち悪いです。
そこへ通りすがりのおじさんがやってきたので、
これは何かと尋ねました。
「これはヒルだよ。雨の日はよくいるんだ」
ひー。
こんな都会の真ん中にヒルがいるなんて、
この公園はどれだけ自然が豊かなんでしょう。
とりあえず遅刻しそうになるくらい見ていた息子をその場から引っぺがし、
幼稚園へと向かいました。
息子を幼稚園に送り込み、自転車の場所まで戻ってきました。
ヒルは身をくねらせながら1.5mくらい進んでいました。
ここでわたくしの正義感とある種の欲望とが
ムクムクと湧き上がってきました。
このままこのヒルを放置したら、幼稚園児の血がヒルの餌になってしまう。
1匹を見たらもう一匹いるというし、ヒルの大発生は避けなければ。
そう考えるや否や、そばに転がっていた大き目の石を持ち上げ、
ヒルの上から落としました。
できる限り高くから。
石はヒルの身体のど真ん中に命中しました。
その途端、ヒルがものすごい速さで丸まりだしました。
さっきまでのゆったりした蠕動運動ではなく、
しなった弓が戻るかのような速さです。
うへえ。気持ちわりー。
石を落とされた部分を中心に丸まったり戻ったりと暴れています。
死んでいません。
そこでわたくしは石の上に足を乗せ、ぐりぐり踏みつけました。
それはもう念入りに。
菱形の部分も石の下に入り込んだので、更にぐりぐり。
そこへ幼稚園のお母さんが通りがかりました。
わたくしが下を向きながら足で何かを踏んでいるので、
息子と一緒に遊んでいるのかと思って声をかけたらしいです。
こちらは大人1人なんですけどね。
で、正直にヒル退治をしていたことを告げました。
その日のお迎え。
幼稚園の門の前で集まっているお母様達の間で、
わたくしがヒルをぶっ殺している話が出ていました。
アリを踏む子供達には、
「アリさんは何も悪いことしてないでしょ。やめましょうね」
と言いながら、子供がいない時にアリの巣をぶっ壊したり、
コーラをかけたりしている人が今度はヒル殺しやってるよ、
公園の生態系を壊してるよ、
みたいな感じに思われてないかちょっと心配です。
「わたくしは子供達の安全を考えて退治したのですよ。
 殺したくて殺したわけではありません。ええ、決して」
と演説したので1人くらいの心には響いていると思いたいです。
さて、帰宅後ネットでヒルについて調べてみました。
ヤマビル研究会というヒル専門サイトを見てみることにします。
『いろいろなヒル』というコンテンツをみると、
上から順にヒルの種類と画像と特徴が出てきます。
ヤマビル、キバビル、ヤツワクガビル、コウガイビル。
画像で見る限り、わたくしが抹殺したのはコウガイビルでした。

【コウガイビルの特徴】
無害。吸血しません。ミミズを捕食。

あれ?
無害?吸血しない?
あの意を決して石を落としたわたくしの行為がー。
幼稚園児のためという大義名分がガラガラと音を立てて崩れ去りました。
しかしこのままでは終わりません。
このまま黙っていては、わたくしの行動に共感したお母様方によって
無害なコウガイビルがことごとくぶっ殺されることにもなりかねません。
翌日、わたくしの殺戮行為を見ていたお母様に正直に告白し、
公園の生態系にに懺悔しました。